いる?いらない?廃線を乗り越えたイルカ電車「ことでん」
香川県高松にやってきたら、ことでんの1日乗車券を購入し、イルカのマスコット「ことちゃん」と共に再起を遂げた「ことでん」に乗車してみましょう! 運転手の案内のもと、田園風景を眺めながら、ゆっくりとした鉄道の旅のスタートです!
日本観光の醍醐味、地域を走る鉄道の旅
日本旅行において、鉄道は欠かすことのできない便利な交通手段です。日本には、JRをはじめとして各地に鉄道会社があり、独自の路線、サービスで乗客の心を掴んでいます。今回は、うどんの故郷でおなじみの香川県高松市を走る「ことでん」に乗車してみましょう!
ことでんとは
写真提供:高松琴平電気鉄道
正式名称は「高松琴平電気鉄道株式会社」で、現地の人々は親しみを込めて「ことでん」と呼んでいます。1943年、当時高松市にあった鉄道3社が統合され、現在のことでんが誕生。地域の足として市民に利用されてきました。
写真提供:高松琴平電気鉄道
しかし1990年代、バブル経済崩壊の影響を受け、ことでんも廃線の危機に陥ります。ついには2001年に倒産。翌2002年になんとか復活を果たします。
倒産はことでんにとってつらい出来事でしたが、このとき、現在のことでんにとって欠かせないあるキャラクターが生まれました。ことでんのマスコット「ことちゃん」です。
写真提供:高松琴平電気鉄道
「ことちゃん」はお腹の出ているイルカで、ことでんの駅員として活躍しています。大好物は香川名物のうどん。大きなお腹の原因は、うどんの食べ過ぎなのだとか。
ことでんいるか?
なぜ、倒産をきっかけにことちゃんが生まれたのでしょう? 実は、ことちゃんの無邪気な笑顔の裏には、ことでん復活時の辛い出来事が隠れているのです。
当時、会社復活のため、ことでんでは多くのインタビュー調査が行われていました。その中には「ことでんいるか?(=ことでんは必要か?)」という、かなり直球の質問も。その上、市民から返ってきたのは「鉄道はいるが、ことでんはいらない」という衝撃的な答えでした。
今のことでんに乗車すると、駅員のサービスや態度は素晴らしいと心の底から思えますが、当時のことでんのサービスは非常に悪く、ことでんの社員でさえもそれをよくないと認識していたほどでした。
生活のために鉄道は必要だけれど、別にそれはことでんでなくてもよい。それが市民の本音だったのです。
この出来事をきっかけに、現地の人から認められるため、ことでんは「よりよいサービス」を最高理念としました。
当時の問題であった「ことでんいるか?」から「イルカ」をマスコットとし、常に自分たちに「必要とされているか」と問い続けることで、よいサービスを乗客に提供しているのです。
丸々としたマスコット「ことちゃん」
写真提供:高松琴平電気鉄道
厳しい批判の中誕生した「ことちゃん」は現在ことでんのマスコットとして、現地の人から愛されているだけではなく、日本各地にもファンを抱え、2013年にはご当地キャラ総選挙で第3位に輝きました!
ことちゃんと妻の「ことみちゃん」に子どもの「ことのちゃん」が誕生したときには、手作りのぬいぐるみをプレゼントして祝福してくれたファンもいたそうです。
大人気の「ことちゃん」には関連グッズがたくさん存在します。可愛らしいイルカが好きな人は駅員のいる駅で購入してみてください。オフィシャルサイトでも購入可能です(日本国内のみ郵送可能)。2018年4月現在3種類のLINEスタンプも発売しています。
ことでんの特色ある車両
マスコットと行き届いたサービスのほかに、もう1つことでんが注目を集める理由があります。それが「特色電車」です。
大正ロマンレトロ電車
写真提供:高松琴平電気鉄道
クリーム色と深い茶色で塗られた4両の電車は、ことでんにおける「会社の宝」とも言える古い車両です。
1925年から1928年に誕生したこの4両は「電車は30〜40年しか使えない」という常識を打ち破り、今日まで正常に運行しています。そのため「動く鉄道博物館」と称されています。
写真提供:高松琴平電気鉄道
その中でも特に、「1000形 120号」、「3000形 300号」、「5000形 500号」はさらに「近代化産業遺産」の認定も受け、多くの鉄道ファンたちを惹きつけています。
現在この4両は不定期に運行しているため、見てみたいという人はオフィシャルサイトを確認してください!
ことちゃん ひやく号
写真提供:高松琴平電気鉄道
「ことちゃん」と妻の「ことみちゃん」のイラストがあしらわれている「ことちゃん ひやく号」はことでん開業100周年を記念して、2011年に誕生した記念車両です。
車両には「ことちゃん」「ことみちゃん」夫婦が沿線のさまざまな観光スポットを訪問する姿が描かれています。
写真提供:高松琴平電気鉄道
ことちゃん ひやく号は現在でも毎日運行していますが、特にオススメなのは土日祝日です。土日祝日には、写真の「ことちゃん」家族も一緒に乗車していますよ!
さらに、小学生以下の乗客には「記念乗車証」シールをプレゼント中。これは非売品です!
こんぴら号
写真提供:高松琴平電気鉄道
濃い黄色の車両、その車両の先頭には大きな赤い漢字で「金(=Gold)」と書かれています。現地の「金刀比羅宮」をイメージした電車で、この電車に乗り金刀比羅宮に参拝するのが、ことでんのオススメです。
写真提供:高松琴平電気鉄道
ことでんは現在計3路線が走っています。琴平線、志度線そして長尾線です。各路線にイメージカラーがあり、黄、赤、緑でデザインされた車両にはシンプルですが可愛らしさがあります。
特に都市部と田舎を走り抜ける際には、周りの景色と相まった、高松らしいのどかな風景を浮かび上がらせます。
1日フリーきっぷを使って高松を遊びつくす
ことでんの3路線、琴平線、志度線、長尾線は高松市全体に延び、「日本100名城」の1つ高松城、「ミシュラングリーンガイド」三つ星の「栗林公園」、源平合戦の戦場「屋島」、新しいおしゃれエリア「北浜alley」、モダンな「仏生山温泉」、そして一生に1回は行きたい「金刀比羅宮」といった有名な観光スポットへ行くのに便利です。
こうした観光スポットを巡るときに、最も便利でお得な方法が1日フリーきっぷを利用することです。1日ことでんに乗り放題で、行きたい場所に行くことができます。
この1日フリーきっぷには現在、「ことちゃん版」と「電車版」の2種類のデザインがあり、どちらも必見。販売駅など詳しくはこちらをチェックしてください!
1日フリーきっぷ 大人1,230円、子ども(6歳以上、12歳以下)620円
※「ことちゃん版」青色は大人用、赤色は子ども用
※「電車版」デザインは毎年異なる
高松で欠かすことのできない「だんだん」の音色
高松市内を歩いていると、ことでんの走る「だんだん」という音が至る所から聞こえてきます。ことでんの「だんだん」は今や、人々に日常の安心を感じさせる、高松を代表する音色になっています。
ことでんと市民との絆を示すものとして、ほぼ全ての駅のホームに置かれている座布団があります。この座布団は市民の手作りだそうです。
「いらない」と言われたことでんが、今では高松市民の生活に欠かせない存在になったことがよくわかります。
ことでんで行く、高松の日常を感じる旅
写真提供:高松琴平電気鉄道
ことでんには無人駅が多いため、そうした駅に到着したときは、運転手がホームに降りて切符の回収を行います。非常に忙しそうですが、その顔には明るい笑みが浮かんでおり、乗客を温かい気持ちにさせてくれます。
高松市に行くことがあれば、1日フリーきっぷを購入し、「ことちゃん」と一緒にことでんに乗車してみましょう! 運転手の案内のもと、田園風景を眺めながら、高松の日常を感じるゆっくりとした鉄道の旅を楽しむのもよいのではないでしょうか。
高松琴平電気鉄道オフィシャルサイト:http://www.kotoden.co.jp/
Written by Chia
Sponsored by 高松琴平電気鉄道
※本記事は繁体字版の記事を翻訳・再編集したものです。